核家族が地方でも多くなり、夫婦共働きの家庭が増えてきました。このため保育園の重要性やニーズは高まっているといえるでしょう。そのような状況に加え少子化対策のために、2019年10月から原則3歳から5歳までの子供を持つ世帯の費用負担を軽減するため幼児教育・保育の無償化が開始されました。消費税から年間800億円を拠出して保護者に代わり自治体に交付された財源から料金が保育園に支払われます。

保護者にとってはうれしい政策といえますが保育園の数はいまだに逼迫していることから、保育園が必要なすべての児童が入園できるわけではありません。このため今保育園を開園するチャンスの時期といえるでしょう。しかし、無償化によって保護者の選択肢は広がっています。このため保育園の質、つまり保育内容やスタッフ、施設の充実がいままで以上に保護者から注目されるようになりました。

保育園を開業するにあたってオーナーは保育士資格を有していることが必要なわけではありません。極端に言えばいままで全く保育業務の経験がない人でも可能なのです。現実に保育業務の経験がなく開園をして成功している人もいます。

そこで保育園の基礎知識を整理してみましょう。

 

 

目次

1.保育士の人数と施設長の資格は法律で規定
2.開業資金とランニングコストを意識する
3.注目の小規模認可保育園・夜間保育園
4.開業は終わりではなく始まりである

 

 

保育士の人数と施設長の資格は法律で規定


まず保育園を開業・運営するために必須となるのが保育士の確保です。0歳児なら3人につき保育士1人、1~2歳児なら6人につき1人、3歳児なら20人につき1人、4歳児以上 なら30人につき1人という基準が国によって定められています。ただしこれは最低限の条件。この人数ではきちんとした保育が難しいため、さらに多い保育士を配置しているのが普通です。

先ほど触れたように無償化制度によって保護者の選択度が高くなっているので、保育園を開業して運営を軌道に乗せるためにも親御さんが安心して納得できる数の保育士を確保することが必要といえるでしょう。嘱託医と調理人の配置も必要となります。また、自治体によって独自の基準を設けている場合があるので、開園する場所の自治体が設けている基準を事前に確認しておきましょう。

 

認可保育園の施設長は原則として年齢が30歳から65歳未満で以下の条件いずれか1つを満たしていることが必要とされています。

1. 児童福祉事業に2年以上従事した経験がある
2. 保育士の資格を持ち、実務経験が1年以上ある
3. 社会福祉士もしくは社会福祉主事の資格を持っている。または社会福祉事業に2年以上従事した者(国または保育関連団体が実施する保育所長研修を受講・修了が条件)
4. 前各号に準ずる者で、都道府県知事が適当であると認定した者(国または保育関連団体が実施する保育所長研修を受講・修了が条件)

 

職員の配置だけでなく設備にも基準があります。2歳児以上を預かる場合には遊戯室の設置が義務づけられていて子供1人当たり1.98平方メートル以上のスペースを確保しなければなりません。施設の設計にあたっては保育園を多く手掛けている施工業者に相談することをお勧めします。

また、開業にはスタートから1ヵ月以内に最寄りの税務署に開業届を提出しなければなりません。開園当初は色々と忙しいこともあり税務署への届け出を忘れがちになるので注意してください。

 

 

開業資金とランニングコストを意識する


ところで気になるのが保育園の開業資金と月々のランニングコストです。開業資金としては021年段階の一般的な金額の場合、広さが20坪程度、園児20人未満の保育園だとして約590万円が必要となります。その内訳は物件取得費150万円、内装工事費150万円、備品・消耗品費100万円、宣伝広告費50万円。

保育園は共働きや病気などで育児が難しい保護者から長時間にわたって子供を預かる場ですから、いわば“第2の家庭”といっても過言ではありません。ですから安心して子供を託せる設備を整えておく必要があります。莫大な費用をかけて豪華にする必要はありませんが、可能な限りの費用を設備にかけることが必要です。

 

500万円以上の資金を手元に有している人はそれほど多くないかもしれません。開業にあたっては融資が必要なケースも多いでしょう。認可保育園の場合には助成金の受給が可能ですが、それだけで開業資金をすべて賄えない場合も考えられます。認可外保育園には助成金は受給されませんから、全ての開業費用を自分で用意することが必要です。

そこで資金調達の方法としてまず思い浮かぶのが民間の金融機関からの借り入れでしょう。しかし、審査基準が厳しいため個人で開業する場合の融資はそう簡単ではありません。日本政策金融公庫ならば創業資金総額の10分の1以上の自己資金を持っていれば融資を受けられる可能性がありますから貸し出しを受けられる確率は高いといえます。

 

次にランニングコストについてみてみましょう。これも目安ですが、規模とて月間の売り上げが300万円程度の施設で1ヵ月に約250万円と考えるのが妥当です。内訳は人件費180万円、賃貸料45万円、給食費12万円、水道光熱費6万円で合計243万円。保育園は保育士を始めとしたスタッフが法律の定めもあり一定数が必要なので1ヵ月の売り上げの40~60%程度を人件費が占めます。賃貸料は立地や施設の規模にもよりますが、1ヵ月あたり5~15%と考えてください。したがって、節約できるのは給食費と水道光熱費のみ。

給食は育ち盛りの子供にとって栄養バランスがとれていて、なおかつ飽きが来ない料理を提供する必要があります。このため節約には限度があるので、こまめに使わない照明を消す、水道を出しっぱなしにしないなど水道光熱費が節約できる一番の項目です。子供達にも指無駄な電力を使わないことが地球環境負荷軽減につながることを分かりやすく説明したり、水道は使ったら必ず水を止めるなどの教育をしたりことは躾にも繋がるので実践してみてください。

 

 

注目の小規模認可保育園・夜間保育園


2015年4月から開始された「子ども・子育て支援新制度」によって、市町村の認可事業となった施設が小規模認可保育園です。定員は19名以下。メリットしては開園までの期間が短くて済むこと。認可保育園だと開園までに2~3年かかりますが、小規模認可保育園の場合だと4~5ヵ月で開園できます。年間で3500万円程度まで自治体の補助成制度が利用可能です。

ただし、定員が少ないので保育士の人数も限られ、一人ひとりへの負荷はどうしても大きくなりがちです。設備の充実などでカバーするようにしてください。

 

夜間保育園もあります。開所時間は11時~22時。最近は小売り流通業やサービス業、病院や介護施設、老人ホームなど365日、24時間体制で営業・運営されている職場も増えているので、そのような仕事に就いている保護者にとってはありがたい存在だといえるでしょう。勤務形態の変化が影響しニーズが高まっているのも夜間保育の特徴です。

ただし労働時間が特殊で人材を確保しにくいこと、労働基準法によって22時から翌日の5時までは給与の25%の深夜労働手当を支払う必要があるのがデメリットといえるかもしれません。

 

 

開業は終わりではなく始まりである


保育園の開業・運営には中長期的な計画をきちんと立てておくことも必要です。なぜかというと、入園した子供達は最低でも2~3年はお預かりすることになるからです。開業はまさに“始まり”だと思ってください。

また開業前に実際に物件まで出向いて周辺の環境を確認することも非常に重要です。交通量の激しい道路に囲まれていないか、開園反対の声が上がりやすい閑静な住宅街でないかなど現地を歩いてじっくりと確かめておかないと、いざ開園しようという時や、開園後の運営時に思わぬトラブルが発生する可能性があります。それらを回避する物件を選ぶために現地に赴くことが欠かせません。

 

さらに安全対策も重要です。しかし具体的にどうすればいいかはなかなか分からないし、子供は大人が及びもつかない行動をしがちでもあります。ですから保育園の施工を多く手掛け、安全な施設のレイアウトや設備について熟知している施工業者に相談するのが一番といえるでしょう。

 

 

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