「共働きで幼児がいるのに子供を預かってくれる施設がなくて困っている」、いわゆる待機児童の問題はマスコミによっても度々取り上げられる社会問題の一つといっていいでしょう。そのような問題を少しでも緩和するために2015年(平成27年)4月から国によって子ども・子育て新制度の一つとして始まったのが「小規模認可保育園」です。

 

 

目次

1.短期間で開園できる小規模認可保育園
1-1.小規模認可保育園の分類
1-2.小規模保育園成功の秘訣
1-3.運営資金の優遇制度(2021年現在)
2.夜間保育園には一定のニーズがある

 

 

短期間で開園できる小規模認可保育園


通常の認可保育園における定員は60名。そして小規模認可保育園の定員は6名~19名とされています。

この制度が整備される以前、19名以下の保育施設と言えば認可外のみに限定されていました。新しく開始された小規模認可保育園においては、市町村の認可によって設立・運営でき、年間で受けられる補助金は平均3500万円です。このため利用料金を低く抑えることができるので、夜遅くまで夫婦が働く乳幼児を持つ家庭にとっては朗報といえるでしょう。

経営する側にも補助金以外のメリットがあります。通常の認可保育園の場合、開業するまでには通常2~3年の期間が必要ですが、小規模認可保育園の準備は平均して4~5ヵ月という短期間で済むからです。

 

小規模認可保育園の分類


小規模認可保育園は以下のような3つのタイプに分かれます。ただし記載する基準は2021年のもので、今後は国の政策により変更されることがあります。最新情報は公的機関のものをチェックするようにしましょう。

 

A型(一般的な認可保育園の分園に近い形)

定員:6~19名

職員の資格:保育士(保健師、又は看護師の特例あり)

職員の配置:
0歳児3人につき1人
1~2歳児6人につき1人
さらに+1人の保育従事者

施設の設備:
0歳・1歳児 1人あたり3.3平方メートル
2歳児1人あたり1.98平方メートル

 

B型(A型とC型の中間)

定員:6~19名

職員の資格:半数が保育士であればよい(保健師、又は看護師の特例あり・研修あり)

職員の配置:
0歳児3人につき1人
1~2歳児6人につき1人
さらに+1人の保育従事者

施設の設備:
0歳・1歳児 1人あたり3.3平方メートル
2歳児1人あたり1.98平方メートル

 

C型(グループ型小規模保育、家庭的保育に近い形)

定員:6~19名

職員の資格:家庭的保育者(市町村の研修を受けた保育士、保育士と同等の知識・経験を有すると認められた者)

職員の配置:
0~2歳児3人につき1人
補助者を置く場合は、0~2歳児5人につき1人の保育従事者(+補助者)

施設の設備:
0歳~2歳児いずれも1人あたり3.3平方メートル

 

 

小規模保育園成功の秘訣は、個性ある安心の保育をアピールすること


小規模認可保育園は、通常に比べ園児の数が少なくなります、しのため保育士が一人ひとりに注意を向けやすく、それぞれの発達や性格をよく観察してそれに適した対応がしやすいということが特徴です。つまり大規模な保育園にはない、個性ある保育を行うことが可能です。

この点を強く打ち出してアピールするのが成功の秘訣といえるでしょう。そのためには開園を考えた段階、なるべく早いうちに小規模保育園施設の設計や建築で実績のある施工業者や建築事務所・コンサルタントへ相談することをお勧めします。

 

共働きで幼児をもつ家庭は特に都市圏に多く存在します。少子化傾向の日本で都市部に待機児童が多いのはこのためでしょう。このため小規模認可保育園の需要も都市圏で多いといえます。

しかし、都会は民家が集密しているので保育園の開園・運営をする上では十分な防音対策を行わないと近隣とのトラブルを起こしかねません。またお預かりしている児童が犯罪に巻き込まれないために防犯カメラの設置なども必要でしょう。安心な保育を行うためには設備費がかかるということです。

 

そこで政府は2015(平成27)年度の保育所等整備交付金という制度を設けています。この制度を利用すれば小規模保育事業所で、新設(創設)、修理(大規模修繕など)、改造(増築・改築・増改築)などの整備を行う場合に、交付金を受けることができます。ただし土地の買収や整地費用、既存建物の買収、職員の宿舎費用などは交付金の対象外となりますので、この点は忘れないでください。

国は待機児童の減少ないしは解消を喫緊の問題ととらえているようで、2017(平成29)年度からは保育対策総合支援事業費補助金の各種改修費事業が「保育所等改修費等支援事業」に統合され、改修費支援の補助金の基準額も上限が3,200万円とされています。保育施設の開設に伴う土地の賃貸料についても補助対象となっており、基準額は、4240万円までです。

詳しくは厚生労働省のホームページに最新情報が掲載されていますのでご参照ください。

 

参考サイト: 保育関係 |厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/hoiku/index.html

 

 

運営資金の融資にも優遇制度が存在


2021年現在、小規模認可保育園には運営する上での優遇制度があります。

都市部など借り上げた建築物が密集していてい開園に必要な設備の整備が困難で時間を有する場合に開園までの賃借料に補助が受けられるのです。その額はA型・B型であれば(1事業所あたり)4000万円。C型では(家庭的保育者1人あたり)96万円となっています。

 

運営を継続するための信金調達の方法として融資を受けたい場合には独立行政法人福祉医療機構を利用すれば、原則として不動産担保が必要ですが、返済期限は20年以内で90%の融資率で貸付を受けることが可能です。

建物を賃貸している場合でも無担保での融資が可能で、限度額は3000万円。利率は貸付金額によって変わり、500万円〜2000万円未満で0.3%。2000万円以上〜3000万円以下で0.5%です。

 

また小規模認可保育園における園児選考は各市町村が行っています。継続して待機児童が発生している地域であれば空きのある施設へ児童を入園させています。国の基準を順守し、誠実に運営を続けていさえすれば、園児の確保に苦労するということもまずないと考えてよいでしょう。

 

 

夜間保育園には一定のニーズがある


ところで、現代は各種の小売り流通業やサービス業で365日、24時間の営業が当たり前になってきました。このため夜遅くまで子供を預かってほしいというニーズも当然ですがあります。そのような声に応えているのが夜間保育です。

ただし保育時間には上限があり、認可保育園の場合は厚生労働省の『夜間保育所の設置認可等について』によると原則として23時までとなっています。

また市町村の認可を受けた保育園の場合、ほとんどが22時までを預かり時間としているようなので、仕事の関係上もっと遅い時間まで預かってほしいならば、認可外保育施設を利用するほかありません。24時間開園している施設もあります。

 

なお夜間保育に特化した資格は必要なく、保育士の資格を持っていれば夜間保育に従事することができます。ただし、児童福祉施設最低基準に従って人員を配置しなければなりません。

認可の基準については以下の通りです。

 

 

参考サイト: 夜間保育所の設置認可等の取扱いについて(平成12年03月30日児保第15号) |厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta9205&dataType=1&pageNo=1

 

夜間保育には一定のニーズがあります。そういう意味では安定した経営が望めるのですが、そのためには国の基準にもとづいた人材配置や設備の充足が必要です。実績のある施工業者やコンサルタントに相談し検討してみる価値はあるのではないでしょうか。

 

 

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